これは、母として歩んできた長い道の先で、
ようやく「私自身の人生」を見つけはじめた一人のWebデザイナーの、ちいさな物語です。
母としての時間のあとに、ようやく迎えた“私の時間”
長いあいだ、「母としての私」が人生の中心にありました。
朝起きて、お弁当を作り、学校に送り出し、帰宅時間に合わせて家の中を整えて――
気がつけば、毎日は子どもを軸に回っていました。
もちろんそれは、とても大切で、かけがえのない時間でした。
けれど、子どもが成長し、少しずつ自分の手を離れていったとき、
私はふと、ぽっかり空いた心の隙間のようなものに気づいたのです。
「私の時間って、いま何をすればいいんだろう?」
戸惑いと再出発のきっかけ
久しぶりにぽんと与えられた“自由な時間”は、
想像していたほど、心を軽くしてはくれませんでした。
うれしい気持ちもありつつ、
何から始めればいいかわからない戸惑い。
「自分には何ができるんだろう」という焦り。
そんな中で、ほんの小さなきっかけで出会ったのが、Webデザインでした。
最初は学び直しのつもりで始めたデザインの勉強が、
だんだんと「私らしさ」を取り戻していく時間になっていったのです。
「私」としての生き方を思い出す
誰かのために何かをするのが当たり前だった日々から、
「自分の気持ちに正直に」「自分の言葉で伝えたい」と思えるようになるまでには、少し時間がかかりました。
でも今は、ようやく「母である私」と「ひとりの私」、
どちらも大切にして生きていきたいと、心から思えます。
そして、デザインもまた、そんな想いと重なっています。
誰かの想いにそっと寄り添いながらも、
自分自身の感性やことばを添えて、そっと届けていく。
それが、いま私が目指しているデザインのかたちです。
“わたしの物語”は、まだ続いていく
もしかしたら、これを読んでくださっているあなたも、
「自分の時間ってなんだろう」と考えたことがあるかもしれません。
この文章は、まだ模索の途中にいる私からの、小さな手紙のようなものです。
誰かの人生にほんの少しでも光を添えられるような、
そんな“物語のようなデザイン”を、これからも届けていけたらと思っています。